穂高岳(奥穂3190m・前穂3090m) 2001年8月2日〜5日
 一日目  徳沢   (総行程2時間)  夕立雨  下界は猛暑・・・上高地は涼しい

一度は泊まられることをお勧めしたくなる徳沢園
東京、大阪から駆けつけた両君の元気そうな顔、久しぶりの再会を喜びつつ今年の山行きの第一歩を
上高地へ標した。
思いがけない雨で出端をくじかれた格好だが気分はルンルン、途中の明神館で一息入れた。小池隊員
が買ってくれた青りんごが実に美味かった。
徳沢園は井上靖の「氷壁」の舞台となったところでもあり雰囲気があり、夕食も満足、風呂にもあり
つき個室でぐっすり。
最後まで呑んでいた後藤、纐纈隊員が一番早く寝息をたてた。夢は涸沢カールか?



上高地バスターミナル   明神館             徳沢園
15:00         15:45〜16:05         17:00


二日目  穂高岳山荘  (総行程8時間30分)   晴れ・午後はガス   涼しい

涸沢への途中(雪渓で)
4時起き、昨夜から準備してもらったお握り2個で朝食を済ませ、はやる気持ちを抑えつつ徳沢を
後にした。天気は晴、長七ノ頭、茶臼ノ頭が快晴の空に輝いている。足取りも口も軽く1時間程で
横尾山荘に到着。小休憩の後横尾大橋を渡り横尾谷筋へ、左手に現れた屏風の頭の威容に感動しな
がらのコーヒーはこれまた感動的に美味い。
吊り橋の本谷橋を渡るといよいよ涸沢に入り、右手上空に北穂高を仰ぎつつ2ヶ所の雪渓を超え第
一の目標涸沢ヒュッテに到着。憧れの涸沢カールに見惚れること暫し、これが大自然(氷河)の成
せる業かとお椀の底で感激ひとしお。テント場の色とりどりのテント、新しくなった涸沢小屋、そ
の上の北穂高岳、さらに抜けるような蒼い空、一望の景色は正に絵そのもの。早い昼食の後食べた
リンゴは大変美味かったがスイカは惜しくも食べ損ねてしまった。
夏山スキーを楽しむ大雪渓を左手に見ながらパノラマコース、ザイテングラードを力強く登る。一
部鎖場もあったが気にはならない、コバイケイソウ、チングルマ、ハクサンイチゲ等々高山植物の
お花畑があちこちに広がり気分良く登りきった。
2日目の目標である穂高岳山荘へ余裕を持って到着。あまり混んでいなくて個室もゲットできた。
早速ビールを片手に外へ、山荘を見下ろす小高い所のヘリポートを梁山泊と決め込み延々2時間余、
昼前から出てきたガスで眺望はイマイチだがガスの切れ目から時折見せる奥穂高岳、前穂高岳、北
尾根等を眺めながら、下界の雑踏を忘れゆったりとした時のながれを満喫した。ここへ来なければ
味わえない贅沢である。我々がボーっとしているうちに亀洞隊員は涸沢岳へ登った。真面目な亀ち
ゃんだ。夕食後またまたヘリポートへ、今度はウイスキーで気炎を上げ今日もまたGKコンビが最
後まで呑み、一番早く寝息を立てた。北尾根上空には満月かと思うような真ん丸な月が昇った。


つなぎがイマイチですが涸沢ヒュッテからの眺望はこんな感じです

穂高岳山荘と奥穂北壁(登山者が数人張り付いています)
徳沢園
5:00
横尾山荘
6:10〜15
コーヒータイム
7:15〜45
涸沢ヒュッテ(昼食)
 9:40〜10:45
ザイテングラード
穂高岳山荘
13:30

涸沢のお花畑から北穂方向を仰ぐこれがザイテングラード



三日目  奥穂・吊尾根・紀美子平・前穂・上高地   (総行程10時間30分)  ガス・一時晴れ・午後雷雨
奥穂西壁から望む
ジャンダルムの雄姿
前穂頂上から望む
真中が奥穂
左がジャンダルム
右が涸沢岳

いずれも奥穂山頂
左手奥穂から垂れ
下がるように吊尾根
が伸びる






吊尾根はこんなところの連続(まだ写真が撮れるだけ良い方)
左は吊尾根途中
後ろは西穂高


   右は前穂山頂

穂高岳山荘
5:00
奥穂高岳山頂(コーヒー)
5:45〜6:25
休憩(吊尾根)
7:15〜25
紀美子平
8:05
前穂高岳山頂
8:45〜9:10
紀美子平(昼食)
9:40〜10:15
休憩(重太郎新道)
11:05〜20
岳沢ヒュッテ
12:55〜13:25
上高地バスターミナル
15:30
平湯温泉
16:30
吊尾根(岳沢の真上)から岳沢を見下ろす
中央の赤い屋根が岳沢ヒュッテ(標高差1000m位か)
左上に白く見えるのが梓川
小梨平、河童橋、帝国ホテルが見える
(標高差1500m)




重太郎新道は左手の岩場のような崖を下る






後藤隊員の目覚ましで4時前に起床。夜半からの強風が続いている。ガスも深く雲も厚い、御来光は望むべくもなく朝食の弁当を前日同様懐中電灯の灯りを頼りに
部屋で食べ出発。ガスも風もありカッパの上着だけ着て奥穂の壁に張り付く。いきなりの鎖、鉄梯子だが昨日の疲労もなく快調に登れた。
中には昨夜の酒が残っていて快調とは言えない隊員もいたようだがそれが誰だかを想像することはいと易きことだろう。
奥穂北壁から西壁に回り込んだ頃、ガスが一瞬晴れ目の前にあのジャンダルムが姿を現した。話には聞いていたが、百聞は一見にしかずでその雄姿に思わずカメラ
のシャッターを数回切った。今年の目標3190m北アルプス最高峰奥穂高岳頂上はガスに覆われ視界が悪く生憎であったが、恒例となったモーニングコーヒーを喫し
た。同時に昼飯の準備も済まし次なる目的の吊尾根に向かう。
昨年の槍ヶ岳西鎌尾根のイメージを描いていたが、まったく様子が違いかなり険しい縦走だ。また鎖場も多く三点支持が四点支持(いわゆるカメレオン状態)にな
って顔色も蒼白(少しオーバーか)になる隊員もいたが、何とか無事吊尾根をクリアし前穂アタックのベースである紀美子平に着いた。紀美子平と言うから大分広
い平地と思っていたが、斜面が少し緩やかなだけでイメージとは全然かけはなれている。その頃はガスも切れて西穂、焼岳、上高地小梨平、岳沢などが一望でき吊
尾根に居る実感を味わうことができた。
ザックを紀美子平に置き前穂頂上へ、ここでは奥穂と違い視界良好、大天井、常念、蝶ガ岳をはじめ南アルプス、富士山のシルエットまで見ることができ、つい長
居をしてしまった。30分近くは居ただろうか、後ろ髪をひかれる思いで下山。
紀美子平で昼飯を食い、重太郎新道を岳沢に向かった。初めから鎖、鉄梯子の連続でかなりの急勾配、しかも降りても降りても岳沢は遠く、眼下に見えてもいても
ヒュッテにはなかなかとどかない、半ば呆れながら下ること2時間40分で岳沢ヒュッテに到着。岳沢ヒュッテでは小池隊員がはるばる持参した貴重な岩村名物松
浦軒のカステラをほおばり元気を取り戻した。最後のひと踏ん張りと思いきや雨がポツリ、ポツリ、そして雷と最悪の状態となった。カッパを着込み汗と雨でグシ
ョグショになりながらも、今宵の露天風呂、ビールのノド越しなどを想い浮かべひたすら上高地へと歩き概ね予定どうり下山。
全隊員怪我も無く無事であったことに感謝しつつ上高地バスターミナルへ帰還した。
平湯温泉平湯館では露天風呂で汗を流し、身体をほぐし十分に満喫。待望のビール、美味い!最高!飲んで食って、そして喋った。
さらに中華そばを食おうと思って息巻いていたが、部屋へ戻るなりバタンキュウッとなってしまい、後のことは知らない。



四日目  帰途   晴れ
やはり4時頃目がさめた。早速風呂へ入った。昨夜とは男女逆になっていた。15年前に一度泊まった
ことがある、改築されてはいるが総檜造りでどちらも良い風呂だった。部屋からは笠ヶ岳が真正面に見
える。穂高のザイテングラード、重太郎新道の険しい登り下りも忘れ次の山への期待が膨らむ。
来年はどこへ登ろうか、このすばらしい仲間達と。
この計画をたて、感動を味わせてくれた亀洞隊員に感謝しています。ありがとう。

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